小生はシンボリルドルフの走りを見たことがないが、小生の競馬人生の中での強い馬はたくさんいた。小生が最初に好きになった馬は、ウエスタンジョージという馬であった。もう20年ほど前になるであろう。新馬戦から3連勝。そのままクラシックという時に骨折で天に昇った。それから一旦、競馬が嫌いになった。その後、馬連が始まった日に競馬を始めて、JRAで始めての馬連万馬券をとった。確かマツノエブエという馬が2着に突っ込んできて99,880円という馬券をとった。あの日の大阪は難波の場外馬券売り場のどよめきと興奮を昨日のことのように覚えている。
三冠馬という事であれば、ナリタブライアンがいたし、トウカイテイオーやオグリキャップのように記憶に鮮明に残る馬もいた。好きだった馬はケイエスミラクル、ライスシャワー、ナリタタイシン。色々な名馬を見てきたが、ディープインパクトのような安心感、安定感は感じなかった。ディープインパクトは、落馬せずに一周廻ってくれば、勝てるという気がする本当に強い馬である。馬っぷりも、毛並みも惚れ惚れする。気性の荒さは、父、サンデー譲りであろうが、これも年とともに解消していくであろう。
今回の競馬が一番強さを感じた。かわし方が遅かったので、ひやっとした部分もあったが、おってからの足が半端じゃない。もしかしたら、この2年以内に上がり32秒台というのが出るかもしれない。最後の100メートルのスピードは半端じゃない。あと一ハロンは追ってもスピードが落ちないのであろう。
また、武豊騎手も見事なもんである。あれほどの単勝支持を集めたら、もう少し前にいきたいところであろう。道中、馬を中に入れつつも、もまれない位置をキープして、難しい京都の下り3コーナーをゆっくりと下りる。この下り坂の乗り方が京都での勝敗を決める。京都の外回りは追い込み有利のようにも言われているが、内を廻る逃げ馬と外を廻る追い込み馬との距離の差が激しく、届かずというケースが案外多いのである。騎手も外を廻っても届くという錯覚に陥るのである。速い車がスピードを上げれば路面に吸い付くような感覚を得るが、まさにディープインパクトと武豊はそんな感じであった。しなやかに追えば追うほど沈む馬体。素晴らしい、美しい走りであった。あの乗り方は、間違いなく、秀才であり天才である武豊にしかできない。「見事」の一言に尽きる。
あとはこの馬の将来である。海外もいいが、どうか故障をせずに生きてほしい。これほど速い馬である。脚の故障だけが心配である。なぜならば、彼にはサンデーの亡き後、その血を残す義務がある。ノーザンテイスト系という言葉からサンデー系という時代の移り変わりを作った、日本最高の種牡馬の血を後世に必ず残してほしい。その義務が彼にはある。これは日本競馬界にとって必須である。今から彼の子が愉しみである。この愉しみが競馬の、ブラッドスポーツの愉しみである。
サンデー死すも、ディープインパクトを残す。
山村幸広
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