金曜日の夜。月曜日から続いた緊張、テンションを下げなければいけない。体を緩める必要がある。交感神経をシャットダウンして副交感神経を活発化させる。それに必要なものは何か? それは、音楽とウイスキーである。一週間を振り返り、思い出し、体を緩める。それにぴったりな酒といえばやはり、小生にはウイスキーである。重くて美しいウイスキーグラスに不自然な形の氷。そこに自らウイスキーを注ぐ。注ぐ音、氷がきしむ音。琥珀色の美しいウイスキーを眺めながら、最初に香りを頂く。そして口に含む。強い口当たりの後に続いて、まろやかに浸透していく美味しさ。そしてすーーと喉の奥から体に入っていく。口の中での現象が、体の中でも繰り返される。そして大きく一息。一週間の喜びと反省の時間がスタートする。金曜日の反省にぴったりの曲は、エキサイトブロガーである、奄美大島の期待の星である、中(あたり)孝介の新譜(9月7日発売)「マテリア」である。
島唄、いわゆる沖縄民謡が日常当たり前に聴かれるようになったのは何頃からであっただろうか? 今や当たり前のように流れ、そして皆に愛され歌われている。「島唄」「涙そうそう」「島人ぬ宝」など、もうほとんどの日本人が当たり前の様に口ずさむ。
沖縄には苦しい、悲惨な歴史がある。それと同じように、悲惨な歴史が繰り返された奄美大島にも、その深い思いが、悲しみがあり、歌に残されている。その歴史や背景を知る事によって更に曲への思いや意味の深さを考えさせられる。島唄の響きはそんな魂の響きなのである。
しかし何度もこのアルバムを聞いていると体の疲れが抜けていき、悲しい思いから、すがすがしい気分になっていくのは小生だけではないはずである。グラスのウイスキーがなくなりアルバムが終了する頃には、体は睡眠を欲した状態になり、精神状態は平日の緊張状態から解放されている。いわゆる週末の自然な、漢方薬なのである。
彼の歌声には人の体を緩める力がある。そして彼の歌声にその未来を感じる。金曜日の夜は、力を抜こう。30分の島唄とウイスキータイムが週末の休日を更に盛り上げてくれるはずである。今日の夜が楽しみである。
「マテリア」とは奄美の方言で「天から差す光」である。
山村幸広
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