
とうとう、「がんこの裏側」の食通作家である佐藤先生と食事をする機会を持てた。
佐藤先生については、小生のブログ、2004年3月3日をご覧頂きたい。このブログを佐藤先生が読まれて、お手紙を頂き、食事とあいなった。
何度かの手紙のやりとりで、そのガンコさは理解していた。予定通りガンコ親父であった。しかし礼儀を重んじ、人への心遣いがある、素敵なカッコイイ親父であった。小生との年齢差が20以上あるので話が合うか心配であったが、そんな心配は無用であった。食べ物、店、色々な話であっという間に酒飯の時間が流れた。
場所は、小生が選んだ、銀座「かわむら」である。食通の第一人者に対して、店を紹介するという暴挙に出て心配であったが、もし「かわむら」が否定されたなら、あきらめられると腹を決めてお連れさせて頂いた。先生が仰っていたが、やはりほとんどの方は、食べる場所は先生にゆだねられるそうである。
ワインを赤白の2本持ちこんだ。最近の1万円以下で購入できるベストワインと嘆美している2本、白はバロンドエル、赤は噂のチリワイン、アルマヴィーヴァである。料理も酒も、「旨い」というお言葉がなくて少し心配であったが、最後に、「妻が肉料理を食べたいと言ったら、ここに連れてこよう。」と仰って頂き、肩の荷が下りた。
先生の最近お気に入りの、目黒のイタリアン、五反田の中華料理、田園調布の鰻屋を御紹介頂いたので近日中に行ってレポートさせて頂くので楽しみにして頂きたい。これは小生も今から楽しみである。
先生に、「おぬしの好きな日本酒の銘柄は?」と聞かれ、
「長野の明鏡止水、新潟のひがん、福井の黒龍 石田屋、山形のひとりよがり、」
とお答えしたら、
「なかなかのセンスだ。99点をあげよう。」
と言われて嬉しかった。しかし思うに、佐藤先生の「がんこの裏側」に影響されてこうなったのであろう。我が家の「ぶたしゃぶ」も先生の言うとおりに、酒をたっぷりいれて、レタスと頂く、佐藤流なのである。グルメな男、池波正太郎、その池波正太郎の舌を引き継いだ佐藤先生。今のグルメブームに欠かせない作家である。しかし、先生は仕事を選ぶからなあーーーーっと心配もしている。
先生の最新作が、写真の「池波正太郎への手紙」である。池波先生が好きだったお店を佐藤先生が廻ってお店の近況を報告するという、夕刊紙に連載されたエッセーをまとめた本であるが、小生の好きな店も複数含まれ、池波先生のエピソードと共に楽しく紹介されている。(思い出しただけでもよだれが出てきた。)
先生は「おとりよせ」の達人でもある。先生のご自宅の食材のほとんどは今や空前のブームである「おとりよせ」なのである。それも先生の場合は、長年の取材で日本中を廻られて、実際に生産地を訪ね、目で見て、そして生産者から直接話をお聞きになって認めたものばかりである。今、先生はこの佐藤家の究極「おとりよせ」を本にまとめられているそうである。これは今から楽しみである。買わずしていられないであろう。上程の際は、「エキサイトブックス」で必ず取り上げさせて頂こうと思っているので皆様楽しみに待っていて頂きたい。
いやーー、こんな親父がいないと日本の食文化は継続されないんだろうなあ。先生が食事の御礼にと、プレゼントしてくださった、ご自身で焼かれたという器。家宝にとっておこう。店を語れる、人を語れる、食を語れる、器を語れる。こんな食通作家が日本で他にいるだろうか。
山村幸広
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