友人が選んだ、ワインと特別ディナーが小冊子になって用意されている。もうそれを眺めているだけで嬉しくなってくる。特別に写真にて公開させて頂く。
普段は絶対に飲めないワインの数々。いやーーーー、素晴らしい。全てにわたって文句なしであるが、あえてあげるとすれば、グランエシェゾー1985のDRC。そういえば最近カリフォルニアばかり飲んでいた自分を王道の味、真髄の味を思い出させる逸品である。上品に時間とともに広がる香り。そして一口、一口にコクと深み、そしてミネラルを発散させる奥深い味わい。時間をかけてワインを愉しむというのはこうゆうことなのであろう。もちろんデキャンタも大事なのであろうが、コルクをぬいた瞬間からの味わいの変化を愉しむ。まるで子供の成長をゆったりと見守るような思い。故に、フレンチは時間をかけてディナーを愉しまねばならないのである。これを開けてから30分で飲み干してしまえば、何もこのワインを知らずに終わったというしかあるまい。これが、開けた瞬間に広がる香りとコクとジューシーさを愉しますカリフォルニアと、奥深さと王道を楽しめるブルゴーニュとの決定的な差なのであろう。
若林氏曰く、やはり「料理との相性を常に考えていけば、フレンチワインを選択してしまう。料理を殺さずそして主張を忘れない。そしてミネラルが料理との味と溶け込む瞬間を愉しむ。これはカリフォルニアではだせません。」若林氏は最近、バッチだけつけているようなソムリエと違い、コメントにも深さがある。ワインを愛しているのがわかる。タイユバンロブションという素晴らしいステージで鍛えられたのであろう。そして威張らずになにげない口調の中に知識とセンスが詰まっていて非常に優秀な人である。彼がソムリエであれば料理もワインも楽しみが広がる。こうゆう人にワインの相談をすれば間違いがない。
その彼がLATOUR1962をデキャンタしてくれたのは、なんとLATOURのデキャンタ。もちろんバカラである。写真ではわからないが、LATOURのロゴが入っている。なんとも、お洒落ですよね。LATOURの62はもちろん61というスーパービンテージの翌年であるが、状態もよく真の王様の味わい。LATOURに悪い年なんてないのではないだろうか?
料理は日本とフランスの冬をたっぷりと演出。見た目も味も素晴らしい。香箱蟹、ふぐ、と続いて、イノシシのカルパッチョ。イノシシの匂いなんて全くなし。とても上品な味わい。トリュフのパイ包みはトリュフが丸ごと一個入っていて、どんな下味をつけているのかわからないが香り豊で深い味わい。それ自身が美味しいと感じられる逸品。そしてフランス産のオマールに最後は丹波の野鹿。日仏の海の幸とジビエを堪能させて頂いた。
完璧なディナーとはこうゆうディナーなのですね。雰囲気、料理、ワイン、ソムリエ、そして友。このすべてが揃って最高のディナーといえるのでしょうね。味を愉しみ、会話を愉しむ。そして記憶に刻み込む。
その日はもう調子にのってしまい数軒はしご。最後まで覚えておりやせん。完璧に痛飲。でも楽しかったなあ。
生涯忘れない一夜として語り継ぎたい。二日酔いと共に。
山村幸広
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