そしてCEOは会社の指針を決定し、方向を定めてその企業のゴールを示さなければならない。そして企業の夢を自分の夢として利害関係者に語らなければならない。そしてそのゴールと夢を実現する為に常に社員を勇気ずけ、モチベーションを最大化し組織をサプライズさせ刺激しゴールを目指す。そして臨機応変な対応力。状況は常に変化する。ハンドルを握るCEOは飛行機の水平飛行ではなく、F1レーサーの様に数秒の間に状況判断し対応し続けてゴールする。それがCEOの役割である。CEOは自分の役割は当然のこと、カメレオンのように変化し、時にはトップセールスマンであり、トップマーケッターであり、トップ財務責任者へと対応しなければならない。
しかし1人でできる事はやはり限られている。ではどるするか? 簡単である。社員にやってもらうのである。それを考えれば社員がいかにモチベーションを上げて仕事をしてもらうかが最大のテーマである事の結論にたどり着く。実際に企業を支えているのは社員なのである。社員の成果、苦労、努力、汗、気の積み重ねが会社の力であり売上げであり利益なのである。社員がモチベーションを上げて働く環境、ステージ、テーマを常にCEOは模索し続けなければならないのである。言葉だけでは、戦略や戦術に長けているだけでは、CEOの意志は社員には伝わらない。なぜなら社員は生身の人間だからである。コンピューターのようにプログラムが正しく書かれていれば動くものではない。よくビジネススクールをでたCEOが嵌る落とし穴はここにある。マニュアルどうり戦略を立ててもそれを実行するのは人間なのだ。そしていくら数多くのビジネスモデルを分析・研究しても人間の遺伝子の様に同じパターンはない。では何が大切か? なによりも大切なのはCEOの夢への実現への思い、情熱なのである。情熱、そうパッションの深さがCEOとしての力の深さなのである。それが社員を動かす、「山を動かす」という事である。
先日新聞で、カネボウの記事を読んでいた。再生機構からCEOを出して経営に乗り出すという記事である。何でも再生機構のルールで3年以内に企業を売却しなければならないそうだ。そしてできれば1日でも早くそうしたいと。そしてできるだけ企業価値を高めて1円でも高く新しい株主に売却できれば良いらしい。この筋書きがオープンされた今、社員はモチベーションを持って仕事ができるのであろうか? つぶれてなくなるよりよかったのか? 花王に買収されてリストラされるよりよかったのだろうという事なのか。CEOは、「企業価値を最大に上げて売却する為にみなさん頑張ってください!」と語りかけるのであろうか? 3年以内に何処に売られるのであろうという中で社員は情熱を傾け仕事に集中できるであろうか? 買われた側の社員は悲惨である。対等合併なんてない。企業買収は買う側と変われる側では全く違う。また新聞にはリストラを進め成果に応じた給与体系への見直しと書いてあったが、戦術よりも、もっと大切なメッセージが社員へ必要である。それよりも例えば、「カネボウをもう一度世界に通用する化粧品会社にしよう!」「ブランドをもう一度作り上げ、花王をキャッチアップしよう!」「カネボウは生き残るんだ!」と社員に語りかければ素晴らしい結果が得られるのではないか? あれだけのブランドを作り上げた会社である。認知度も高い。CEOが役割を果たして、社員がモチベーションをマキシマイズさせ全力で取り組めばきっといい会社になるはずである。そして消費者に商品を通じて満足を与え立派な企業に再びなり、社員の方々が自信を回復し苦難を乗り越えて歴史を作って頂く事を祈っております。エキサイトも親会社倒産から再生しました。今はあの時の辛さ、苦労、経験が小生にとっても、社員にとっても力になっている。我々は苦しさをしっている分、どこよりも強い。
山村幸広
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