「男 丹羽宇一郎伊藤忠商事社長 社長勇退」 4月23日
よく、尊敬する経営者は? と聞かれるが、なかなか答えが浮かばない。何をもって尊敬するか? なにをもって優秀な経営者とするか? 経営者にも色々な価値観がある。そしてその就任時の局面があり、それに応じてやらなければいけない事は変わってくる。しかしその中で丹羽社長が尊敬に値すると考える大きな点は、やはり公約を守るという事と、私欲を捨てて会社と社員の為に取り組まれたという事に対して、伊藤忠商事の社員が誰も異論を言わないという点であろう。
「公約を守る」。当たり前の事であるがなかなかできている経営者は少ない。丹羽社長は、就任時から、「自分の任期は6年」を言い続けた。そしてその通り、続投の声を振り切って約束を守った。丹羽社長が有名になったのは、「無給社長」というニックネームであった。社長就任当初、会社の膿を全部出し切ろうという事で4000億円という大きな損失処理を実行した。株価は一時大きく下げた。その責任をとって報酬を返上した。その損失は過去の精算であり、実際は丹羽社長の責任ではなかったであろう。「社長が無給でやっている」。皆が何も感じないはずがない。行動が伴ったわかりやすいメッセージだった。社長車もつかわず電車で通勤され、経費削減を自ら実行された。それを物語るエピソードを紹介する。次期社長の小林専務が役員に就任した時、「ではお祝いをしてやろう」と丹羽社長が一席設けた。小林専務もサシで飲むのは初めてで、少し緊張されていた。丹羽社長は、「じゃあワインでも飲もう。今日は君のお祝いだから少し奮発しようじゃないか」と仰った。メニューに書かれたワインは、6000円、7000円、8000円、10000円、12000円、15000円。すると丹羽社長は店の人に「7000円のワインをお願いします」と言って注文されたそうである。
「清く、正しく、美しく」とは、丹羽社長が掲げたスローガン。「今の時代だからこそ、これだ」と何年も前から仰っていた。色々な経営者の不祥事が続く中、このスローガンは時代を先読みされていた。他のエピソードで、「何故6年で辞めるのですか?」という質問に対し、「私も人間。6年以上全てを我慢して社長業をやっていく自信がない」と言われたそうである。そして今月に入ってから、最新でまだ一部の企業しか取り組んでいない会計処理を実行して単体で1500億円を超える減損処理を再び実行。営業利益は予定通り達成しており、今期にこの減損処理をやらなくてもよかったが、やっておけば次の社長の負担を軽くする。後世にツケを残さない。また自分で責任をかぶった。最後に所定の黒字を出して、自分個人の報酬を取るという小さい考えはこの人には全くなかった。オーナー会社ならともかく、サラリーマン社長でここまでやられた人が過去にいたであろうか? 今回の減損処理で株価は下がらず、発表後に上げた。正に、「男 丹羽宇一郎」である。
こういう物を書くと「エキサイトの社長は親会社の社長にこび売りやがって」と言われるだろうがかまわない。小生の事を知っている人は、小生がこびを売ったり、上をみて物を言う人間ではない事を知っている。この事実をクラリファイする義務が、小生にはある。
そして公約の「ワンスキップジェネレーション」通り次は小林専務が社長に就任される。小林氏は小生をエキサイトに雇い入れた人である。その当時(1998年)、部長であった小林氏が次の社長という事で、これもまた、なんとも素晴らしい事である。小林氏にはエキサイトを通じて色々とご指導を頂いた。3年ほどご一緒に仕事をさせて頂き、色々な出来事も思い出される。一番小生にとっても思い出深いのは2002年にエキサイトの親会社であるExcite@Homeが倒産して、伊藤忠商事が株を買取り、伊藤忠商事の子会社になった時である。伊藤忠商事の子会社の社長は殆ど、伊藤忠商事出身である。小生はよそ者である。小生は小林氏に、「伊藤忠がテークオーバーしたエキサイト。このタイミングで社長を伊藤忠から出しても誰も笑いません。その時は身を引きます」と申しあげた。すると小林氏は仰った。「そんなアイデアはない」。そして小生は続投を命じられた。男気を感じた。絶対にこの人の実績になるように、エキサイトを優良会社にすると心に決めた。後で聞けば伊藤忠社内でも議論はあったそうだが、エキサイトの伊藤忠側の責任者と小林氏は小生続投の意を変えなかったそうである。小林氏は、「厳しく、激しく、緻密で、人情があり、義理を守り、人の話をじっくり聞き、即断即決」の人である。正に次期社長に最適な人である。
丹羽社長は代表取締役会長に就任される予定である。今後の公約は、「2頭政治はやらない」。今後は小林新社長をサポートしながら勇退されるのであろう。まだ65歳である。是非今後は経済界にそのご活躍の場を移して頂きたいと思う。今の日本人が忘れて欠けている日本人らしさを、身をもって実行される人である。論客ぶりを更に御披露頂きたい。
尊敬できる経営者ができてよかった。
山村幸広
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「公約を守る」。当たり前の事であるがなかなかできている経営者は少ない。丹羽社長は、就任時から、「自分の任期は6年」を言い続けた。そしてその通り、続投の声を振り切って約束を守った。丹羽社長が有名になったのは、「無給社長」というニックネームであった。社長就任当初、会社の膿を全部出し切ろうという事で4000億円という大きな損失処理を実行した。株価は一時大きく下げた。その責任をとって報酬を返上した。その損失は過去の精算であり、実際は丹羽社長の責任ではなかったであろう。「社長が無給でやっている」。皆が何も感じないはずがない。行動が伴ったわかりやすいメッセージだった。社長車もつかわず電車で通勤され、経費削減を自ら実行された。それを物語るエピソードを紹介する。次期社長の小林専務が役員に就任した時、「ではお祝いをしてやろう」と丹羽社長が一席設けた。小林専務もサシで飲むのは初めてで、少し緊張されていた。丹羽社長は、「じゃあワインでも飲もう。今日は君のお祝いだから少し奮発しようじゃないか」と仰った。メニューに書かれたワインは、6000円、7000円、8000円、10000円、12000円、15000円。すると丹羽社長は店の人に「7000円のワインをお願いします」と言って注文されたそうである。
「清く、正しく、美しく」とは、丹羽社長が掲げたスローガン。「今の時代だからこそ、これだ」と何年も前から仰っていた。色々な経営者の不祥事が続く中、このスローガンは時代を先読みされていた。他のエピソードで、「何故6年で辞めるのですか?」という質問に対し、「私も人間。6年以上全てを我慢して社長業をやっていく自信がない」と言われたそうである。そして今月に入ってから、最新でまだ一部の企業しか取り組んでいない会計処理を実行して単体で1500億円を超える減損処理を再び実行。営業利益は予定通り達成しており、今期にこの減損処理をやらなくてもよかったが、やっておけば次の社長の負担を軽くする。後世にツケを残さない。また自分で責任をかぶった。最後に所定の黒字を出して、自分個人の報酬を取るという小さい考えはこの人には全くなかった。オーナー会社ならともかく、サラリーマン社長でここまでやられた人が過去にいたであろうか? 今回の減損処理で株価は下がらず、発表後に上げた。正に、「男 丹羽宇一郎」である。
こういう物を書くと「エキサイトの社長は親会社の社長にこび売りやがって」と言われるだろうがかまわない。小生の事を知っている人は、小生がこびを売ったり、上をみて物を言う人間ではない事を知っている。この事実をクラリファイする義務が、小生にはある。
そして公約の「ワンスキップジェネレーション」通り次は小林専務が社長に就任される。小林氏は小生をエキサイトに雇い入れた人である。その当時(1998年)、部長であった小林氏が次の社長という事で、これもまた、なんとも素晴らしい事である。小林氏にはエキサイトを通じて色々とご指導を頂いた。3年ほどご一緒に仕事をさせて頂き、色々な出来事も思い出される。一番小生にとっても思い出深いのは2002年にエキサイトの親会社であるExcite@Homeが倒産して、伊藤忠商事が株を買取り、伊藤忠商事の子会社になった時である。伊藤忠商事の子会社の社長は殆ど、伊藤忠商事出身である。小生はよそ者である。小生は小林氏に、「伊藤忠がテークオーバーしたエキサイト。このタイミングで社長を伊藤忠から出しても誰も笑いません。その時は身を引きます」と申しあげた。すると小林氏は仰った。「そんなアイデアはない」。そして小生は続投を命じられた。男気を感じた。絶対にこの人の実績になるように、エキサイトを優良会社にすると心に決めた。後で聞けば伊藤忠社内でも議論はあったそうだが、エキサイトの伊藤忠側の責任者と小林氏は小生続投の意を変えなかったそうである。小林氏は、「厳しく、激しく、緻密で、人情があり、義理を守り、人の話をじっくり聞き、即断即決」の人である。正に次期社長に最適な人である。
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尊敬できる経営者ができてよかった。
山村幸広
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by yamamura2004 | 2004-04-23 12:06 | Trackback(3)
タイトル : 社長たちがブログしている。
IT関連を主力にして、それぞれの会社の社長のブログが盛んになってきたそうである。 それは正しい。 社長が世界にメッセージを発信する。 社員をはじめ、みんなが見る。 意見を言う。 ただ、ランチに何を食べたとかだけではいただけない。 今、何を考えているのかこそ知りたい。 #投稿した後で、いい記事を読んだのでTBしておきましょう。[2004.5.1編集] エキサイト社長のブログ 週刊アスキーを読み始めた頃、巻末の西和彦の日誌が楽しみだった。 朝食をともにして、打ち合わせ、協議をする話や、何を今、開発しようとしているかなんて話は興味をそそわれた。 彼はアスキーを......more
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タイトル : 読みたい本
前から気になっていたんだけど、伊藤忠商事の丹羽会長はやはり立派な経営者だと思う。以前読んだ新聞記事か何かで「あ〜変わった経営者だな」と思ってた。で、今回この本は是非読んでみたいなと思います。なかなかこ......more
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タイトル : 「シカゴからご挨拶」
皆さん、シカゴの岸岡です。どうぞ宜しくお願いします。1998年末に日本の伊藤忠商事を途中下車して、このシカゴにやってまいり(戻って)ました。「シカゴ」というと、どうしてもアルカポネやシカゴブルズ等と怖い・寒いというイメージが根強く、カリフォルニアやニューヨークの様な馴染みが余り無い、或いは避けたい街と思われている(笑)方も多いのではないでしょうか。 日本からは出張等でシカゴに来られる方も大変多いですが、実際にはオヘア空港から展示会場や訪問先企業へ車で直行し、仕事に忙殺されて、余った時間でシ......more
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